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「2018年の英単語」に選ばれたのは、やはりトランプ関係の言葉だった (tender-age shelter) [Word of the Year]

年末年始は公私ともに予想外に慌ただしく、久しぶりの更新である。毎年、いろいろな団体が Word of the Year を選んでいるが、このうち America Dialect Society は年明けに選定を行う。先日発表された「2018年の単語」は tender-age shelter だった。

アメリカで大きな論議になっている移民の受け入れ(というより、拒絶)にかかわる言葉で、不法移民の子どもを収容するために、トランプ政権が国境近くに設けた施設を指す。日本語では報道を見る限り、定訳はないようだ。ここでの tender は「幼い、若い」という意味である。

「アメリカ英語学会」のサイトにある発表文から転記しよう。

- tender-age shelter/camp/facility: government detention center for asylum-seekers’ children
https://www.americandialect.org/tender-age-shelter-is-2018-american-dialect-society-word-of-the-year

さらに次のような説明が続く。文中の Zimmer とは選定のまとめ役をつとめた人物である。

- The term tender-age shelter/facility/camp first emerged in June 2018 when it was reported that infants and young children were being held in special detention centers after being separated from their families who crossed over the southern border, some illegally.

“The use of highly euphemistic language to paper over the human effects of family separation was an indication of how words in 2018 could be weaponized for political necessity,” Zimmer said. “But the bureaucratic phrasing ended up backfiring, as reports of the term served to galvanize opposition to the administration’s border policy.”
(ibid.)

子どもを家族から引き離して収容施設に入れるという "special detention center" という実態を、"tender-age shelter" と表現することによって取りつくろっている (paper over)、といえるのだろう。

この言葉をネットで検索すると、6月に英紙「ガーディアン」が取り上げた記事が上位にヒットした。読んでみると、アメリカ英語学会の上記コメントと同じような視点で書いている。

トランプ政権は、子どもを tender-age を呼ぶことによって、この政策について「優しい、思いやりのある」という tender の別の語義を想起させるように仕向けている、と論じている。一部を引き写してみよう。

- The latest rhetorical ploy is that young children are being taken to "tender age" shelters. The adjective “tender” here officially describes the youngsters’ age, but it implies that the policy is itself an example of official tenderness. This idea is reinforced by the use of “shelter”, as though the children are being protected from a storm or bombing raid, whereas they have in fact been deprived of the shelter of their parents.
("'Tender-age' shelters: a new way to describe the kidnapping of children" The Guardian, June 20, 2018)

記事のタイトルで 'tender-age' とクォーテーションマークをつけているのも、「作った側がそう呼んでいる」という引用を示す一方で、書き手が疑念を抱いているという意味あいも持たせているように思う(参考→ air (scare) quotes ~「いわゆる」を表す二本指のジェスチャー )。

「ガーディアン」の記事はこう結ばれている。

- That there can be such a relentless blizzard of dishonest unspeak to describe the kidnapping and imprisonment of children in 21st-century America might seem astonishing – but, as we are learning, in Trump’s world anything is possible.
(ibid.)

これでアメリカ英語学会は3年連続でトランプに関わりのある言葉を選んだことになる。もしかしたら1年後も同じような結果になるかもしれない。

なお American Dialect Society の「今年の英単語」は”部門賞”も設けているが、そのひとつ "Political Word of the Year" のカテゴリーに今年は (the) wall が選ばれた。

これは "proposed barrier along the US/Mexico border to prevent illegal crossings" ということで、つまり移民問題でいま最大の注目を集めているといってもよいメキシコ国境の「壁」建設計画のことである。

「壁」建設の予算をめぐる対立で、アメリカでは政府機関の一部閉鎖が今も続いている。トランプ大統領は予算措置を求めるテレビ演説を先日行った一方、民主党は反対を貫く構えで、解決の兆しが見えないのは日本でも報じられている通りだ。

ついでだが、「ケンブリッジ英語辞典」が選んだ「2018年の言葉」である nomophobia について前回取り上げたので、ご参考まで(→こちら)。この単語はトランプとは関係ない。


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タグ:トランプ
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