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succeed 必ずしも「成功」ならず (オウム麻原代表の死刑執行) [注意したい単語・意外な意味]

日本で生まれ日本語で育った以上、英語を多少がんばって学んだからといって、そうやすやすと母語を排除して”英語で考える”ことができるようになるわけではあるまい。先日、オウム真理教の麻原彰晃ら幹部の死刑が執行されたことを伝えるCNNの記事を読んでいて、あらためてそう思った。

この記事の中に、オウムは地下鉄サリン事件でもっと大きな被害を出そうと目論んでいたが、手違いがあって果たせなかった、という記述がある。

- Fortunately, mistakes made in developing the sarin and its delivery method meant the attack was far less effective than intended, and the group only succeeded in killing 12 and injuring 5,500 people. Another victim died later.
("Japanese cult leader Shoko Asahara executed for Tokyo sarin attack" CNN July 6, 2018)

私は succeeded in killing... のところを目にして、一瞬「えっ?」と思った。日本語で「~人を殺害する(負傷させる)ことに成功した」と言うとしたら、それは犯行を起こした側に限られ、マスコミを含めてそれ以外の立場だったら絶対言ったり書いたりはしないだろう。

私も伊達に英語を数十年間学んできたわけではないので、succeed イコール「成功する」とは限らないということは知っている。しかし、それはあくまで知識として頭に入れたものだ。

今回も、まず「成功」が頭に浮かんできて「あれっ?」と思ってしまった。そして、ほんの一瞬遅れて、理屈で納得したしだいである。

「ほんの一瞬」と言い訳がましく、あるいは偉そうに書いたが、この遅れがあるのとないのとでは天地の差だ。私はまだまだ英語のままで瞬時に理解することはできず、日本語の感覚や感性で英語をとらえていることになるからだ。

また、私がオウム事件について英語で話せと言われたら、succeeded in killing... という言い方はとうてい思い浮かばないだろう。

こんな風にグチグチ書いていても仕方がないので、英和辞典から、succeed について「成功する」以外の訳語を拾ってみよう。

- 「(計画などが)うまくいく、思い通りの結果になる」「成し遂げる」「首尾よく…する」

例文としては、

- I only succeeded in losing everything.
(意図と違って)私は何もかも失うことになってしまった
(ジーニアス英和大辞典)

しかし、言葉の意味を把握するためには、やはり英英辞典を参照すべきだろう。

- to achieve something you have been trying to do or get; to have the result or effect that was intended:
I tried to discuss it with her but only succeeded in making her angry (= I failed and did the opposite of what I intended).
(OALD)

この例文の言い換え説明として使われているのは、一見 succeed と正反対の fail なのがおもしろい。

そして、一連の文を眺めていて気づくのは、すべて only がついていることだ。そこで、これが一種のまとまった表現形式なのではないかという気がしてくる。

あらためて電子辞書を引くと、「ロングマン現代英英辞典」がまさにこの形で取り上げていた。

- only succeed in doing sth
used when someone doe the opposite of what they intended to do:
It seems I've only succeeded in upsetting you.
(LDOCE)

続いて手持ちの紙の辞書を見ると、「スーパーアンカー英和辞典」もまとまった表現として扱っている。

- only [just] succeed in doing
(逆効果になって)かえって、…するだけである
By making repeated excuses, the minister only succeeded in making a bad situation worse.
大臣が釈明を繰り返せば繰り返すほど、かえって、状況を悪化させてしまっただけだった。

ただ、これを先のCNNの記事にあてはめて、only succeeded in killing... を「かえって~だけだった」という訳にするのは変だろう。やはり辞書の訳語ではなく、「本来の意図とは異なる」という、この表現の意味を押さえないといけない。

ついでだが、この文を「~人の殺害に成功するにとどまった」と訳す生徒が出てきてもおかしくないように思う。言葉というより、常識的に考えてもそれではまずいのではないか、と思ってほしいものである。

話が広がってしまったが、いずれにせよ、succeed = 成功する、というような学び方をしていると、いつまでたっても「えっ!」という感じが拭えないのではないだろうか。

そして、それを少しでも打破するには、知識と理屈を溜め込むことも必要だが、同時に、やはり生きた英語の実例に触れ続けることが欠かせないと思う。

なお、「成功する」「うまくいく」という意味での succeed は、上記のように後に動詞をつけるなら in doing の形となり、*succeed to do ではダメなので、注意点として付記しておきたい。

余談だが、今回引用した CNN の記事は、まず今回の死刑執行について書いたあと、日本の死刑制度にからめて人権団体などからの疑問の声を紹介し、その後でオウムの事件の振り返る、という流れになっている。正直言って、私はこの構成には違和感を持った。

地下鉄サリン事件が起きた時、私は東京で勤務していたが、あの日のことは20年以上経った今でも鮮明に覚えている。

地下鉄での通勤ではなかったが、仕事で必要があれば移動手段として使っていた。あの朝、仮にそうした用事があって、地下鉄で相手先に向かっていたら、もしかしたら…。そんなことを思いながら、事件を伝えるテレビニュースを見ていたものだった。

死刑の是非をめぐってさまざまな考え方があることは私も承知している。しかし、オウムの事件は現代日本が初めて直面した最大級のテロだったのだ。死刑制度とからめるより先に記述すべきは、あのようなカルト教団が生まれ、前例のない事件を起こしたという特異性ではないだろうか。

succeed と「成功する」もそうだが、出来事のとらえ方についても、海外と日本との間に横たわる溝を突きつけられたような今回の記事であった。


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