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昔の「基礎英語」は今より音声面に力を入れていた [英語学習]

5年前の今ごろ、ラジオ講座の「基礎英語」について「初学者に不親切な内容では」と書いたが、その記事を先日お読みいただいた方から「今年の講座にも同じような感想を持った」というコメントが寄せられた(→こちら)。

そこで、今年の4月号テキストを書店で読み、公式サイトでストリーミングも聞いてみたが、確かに5年前と方針に変わりはないように見受けられた。

若いころ、オジサン連中から「昔はよかった」的な話をされると「ウザいなあ」と思ったものだが、私自身がそういうことを言うトシになってしまったのが何とも悲しい。それでも、あらためて「同じ講座名なのに、自分が聞いた時とずいぶん違ってしまったなあ」と思った。

5年前の記事を書いたあと、私が聞いていた時の4月号テキストを見つけることができたので、一部を載せてみたい。40年以上前のテキストは今より小さいA5版で白黒刷りだ。まずは、最初のレッスンである。

nhkkiso1.jpg



ごらんのように、ABC・・・すら出てこない。4月第2週からアルファベットを教えたので、それまでは使わない、ということだったのではと想像する。

一方、写真では見にくいが、発音の仕方が実にていねいに説明されている。カタカナも補助的に使っていて、そうしたやり方には反対もあるだろうが、初めてまともにネイティブの英語を聞く私には、単に「聞こえたとおりにマネしてみましょう」といわれるよりも、すっと助けになった。

次は、4月後半のあるレッスン。bowl と ball と mop に含まれる母音の違いがテーマだ。

nhkkiso2.jpg


このように4月をまるまる使って、日本人が苦手とする母音や子音の識別を中心にした発音のレッスンだけが行われた。第1週のあいさつ表現を除いて出てくるのは単語だけで、”会話の決まり文句”はおろか文そのものがまったく出てこない。講師(桜美林大学の大野一男教授)は英文学が専攻で音声学の先生ではなかったが、それでも最初にここまで「英語の音」をしっかりと教えていたのである。

次の年、私は「続基礎英語」(当時のタイトル)に進んだ。講師は成城大学の安田一郎教授で、若き日のマーシャ・クラッカワーさんがネイティブスピーカーのアシスタントをつとめていた。

ここでも4月は先を急がずに「基礎英語」(中学1年生)レベルのおさらいにあてられていたが、やはり音声面について1か月のうちの多くのレッスンで扱われた。

次はそのひとつで、同じ文 (What are you doing?) でも、文脈・意味内容の違いによってイントネーションが異なることを折れ線を使って示している。

nhkzokukiso.jpg


今の講座はどうだろうか。5年前もそうだったが、1回目の放送からさまざまな文が出てくる。ストリーミングを聞くと、特に詳しい説明をしないまま講師が「リピートしてみましょう」と指示している。発音以外の面でも、「I'm は I am を縮めたものです」といった説明がある。

確かに「実際に使われる自然な英語」ではあるだろうが、私には初学者を念頭に置いたものとはとても思えない。昔と違って小学校から英語を教えるようになっているので、それを学んだことを前提にしているのだろうか。また今後のレッスンでは詳しい説明が織り込まれていくのかもしれないが、テキストの記述を見る限りそうした配慮は希薄に感じる。

学習開始が早まったことの反映か、今年度から小学生を対象にした「基礎英語0」という新講座ができたことも書店で知った。しかしそのテキストを見たら、いきなり How do you spell your name? と書かれていたので目を剥いた。自分の名前の綴りを通じて ABC を知ってもらおうということだろうが、ちょっと唐突すぎはしまいか。

それでも放送でていねいな説明がされているのなら、と思って初回のレッスンをストリーミングで聞いたが、「英語について小学生からの質問に答える」というショー仕立ての番組になっているので、またも驚いた。これが「基礎」なのだろうか?

5年前にも書いたが、「基礎英語」が昔と違ったスタイルになっているのは、「使える英語を」という近年のコミュニケーション重視の教育方針に沿ったものなのだろう。しかし、単に「ネイティブの後について聞こえたとおりにリピートしてみましょう」というのでは、スピーキングやリスニングの面では初学者に不親切なだけでなく、効果があがらないか、少なくとも遠回りではないだろうか。

英語は日本語と隔たりが大きいので、小学校高学年にもなれば、実際の音を何度も聞かせることととあわせて、2つの言葉の違いに焦点を当てて具体的に説明することが必要なのではと思う。文法面もしかりである。

それを行っていたのが私が聞いていた頃の「基礎英語」で、学校の授業ではきちんと教わらなかった事柄を補ってくれる心強い存在だった。今は「コミュニケーションの英語」に軸足を移して学校で音声面についてきめ細かく教えるようになったので、「基礎英語」ではもうその必要がなくなった、ということだろうか。とてもそうは思えない。

先日いただいたコメントをきっかけに書き始めたエントリなのでラジオ講座ばかり取り上げたが、私が疑問に思っているのは別にこの講座に限ったものではない。つまり「4技能」とか「話せる英語」と叫ばれている割には、そのための「基礎の基礎」がどれだけ本当にしっかりと教えられているのだろうか、ということに他ならない。

もちろんそうした指導を行っている学校もあるだろうし、それに問題なくついていっている子どももいるだろう。しかし一方で、「英語が嫌いだ」という生徒の割合がむしろ増えているとか、「話す力・書く力」が目標にしていたほどは伸びていない、といった調査結果も目にする。

そうであれば、はたして「コミュニケーション重視」という方向性は本当に望ましいものなのか、さらには、日本人全員が一律にそこまでして英語を学ばなくてはいけないのか、というところまで考える必要が出てきそうである。しかしあまりに話が広がってしまうので、今回はこの程度にしておきたい。


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コメント 2

英語講座のおかげです

しばらく書き込みができませんでした。
ありがとうございます。全くその通りです。私が聞いていた頃の基礎英語は特に最初はこんなにゆっくり進むのかと思うほどでしたし、今回見せていただいて思い出しましたが、最初はとにかく個々の発音もじっくりやっていました。確か土曜日も特に発音をやっていたような気がします。
私は基礎英語は小島義郎先生の初年度、続基礎英語は安田一郎先生の最後の2年間を聞くことができました。さらに英語会話は東後勝明先生と豪華な講師陣で、本当に恵まれていたと思います。
今の基礎英語1はまとまった英文をいきなりリピートさせていて、これでは、まるでかつての英語会話を中1でいきなり聞き始めるのと同じような感じです。
by 英語講座のおかげです (2018-05-19 10:47) 

tempus fugit

私が聞いていた大野先生の次に担当したのが小島先生ですね。たぶん当時の基礎英語は講師が変わっても基本的な方針は定まっていたのではないかと想像しますので、同じように基礎をみっちりと指導していたのでしょうね。

安田先生の「続基礎会話」の名物(?)だった「転換練習」は、手を変え品を変え基礎構文を叩きこむというスタイルで、本当に役立ちました。おかげで、次に私も利用した東後先生の「英語会話」がちょっと物足りなく思えるほどでした(一方で「英語会話」はゲストインタビューの聞き取りが大いに役に立ったので、こちらも感謝感謝ではありますが)。

今となって懐かしい、英語学習初期の思い出です。


by tempus fugit (2018-05-19 20:57) 

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