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err on the (right) side of 「まだましな方を選ぶ」「~に越したことはない」 [単語・表現]

water が「ワーラー」のように発音される t 音について前回書いた際、"It's better to err on the side of being too proper than too sloppy." という言葉を引用した。今回は日本人にわかりにくいのではと思われるこの表現について書きたい。

err on the side of... を直訳して「~の側で間違える」と考えると何のことかと思うが、そうしたほうがいい・そうするべきだ、という文脈で使われると、「どうせ間違えるのなら、ましな方で間違えよ」、「ネガティブな選択肢の中からあえて選ぶなら、~の方がまだましだ」というようなニュアンスになる。

冒頭にあげた文は、/t/ を軽く発音するか、しっかりと発音するかについてアメリカ人が書いたもので、これに先立つ部分を含めた文脈は前回のエントリを参照していただきたいが、「だらしないと思われるよりは、むしろ堅苦しいと受け取られる方がまし」、「崩れた発音をするくらいなら、律儀な発音をするに越したことはない」という意味になる。
http://www.antimoon.com/forum/t15437-15.htm

電子辞書に載っている記述をいくつか引用しよう。

- err on the side of
「…しすぎて間違う」 It is better to err on the side of mercy [generosity]. (厳しすぎるよりは)慈悲深すぎる[寛大すぎる]ぐらいのほうがよい(ランダムハウス)

- err on the side of justice [mercy, leniency]
「公正(寛大)すぎる」(ジーニアス)

- err on the right [safe] side
「あやまちを犯すとしても重大なあやまちは避ける(ようにする)」(リーダーズ第2版)
「被害のあまりない間違え方をする」(ジーニアス)
「(結果的に)不満・不都合をもたらさない誤りを犯す、(過ちを犯すにしても)重大な過ちは避けるようにする」 I might have bought too much wine for tonight, but I'd rather err on the right side. 今夜の分にしてはワインを多く買いすぎてしまったかもしれないが、少なすぎるよりはいいだろう.(ランダムハウス)

- err on the side of caution
「用心に用心を重ねる、石橋を叩いて渡る」(ジーニアス)

こなれた日本語にしにくいようで、「~しすぎて間違う」をはじめとして、苦戦しているものが多いなというのが正直な印象だ。「じゃあお前がやってみろ」と言われたらすごすごと退散するしかないが。なお、私がひいきにしている「アンカーコズミカ英和辞典」には、残念ながらこのイディオム自体記載がなかった。

次に英語圏の辞書を見たが、これまた非ネイティブにはピンとこない説明が意外に多いように感じた。その中でも比較的わかりやすいものとしては、

- err on the right side
act so that the least harmful of possible mistakes or errors is the most likely to occur.
(Oxford Dictionary of English)

- err on the side of caution
take a comparatively safe course of action when presented with a choice
(Oxford Dictionary of English)

- err on the side of caution
to be especially careful rather than taking a risk or making a mistake:
25 people have replied to the invitation, but I've erred on the side of caution and put out 30 chairs.
(Cambridge Advanced Learner's Dictionary & Thesaurus)

続いて、ネットで見つけた最近の実例である。イギリスでは、マスコミの倫理が問われる出来事があったことを受けて、報道を規制する法律をつくるかどうかが取り沙汰されている。ヘイグ外相は規制に反対で、「言論統制に比べれば、言論の自由の名のもとに起きるトラブルの方がまだましだ」という考えの持ち主のようだ。

- FOREIGN Secretary William Hague yesterday hinted there will be no state regulation of newspapers as he declared: “You have to err on the side of freedom.”
http://www.thesun.co.uk/sol/homepage/news/politics/4665090/William-Hague-You-have-to-err-on-the-side-of-Press-freedom.html

- Democratic governments must protect the freedom of the internet -- even when it provokes crises like the recent anti-Islamic video, the foreign secretary, William Hague, has said.

Addressing an international cyberspace conference in Budapest, he said states should always "err on the side of freedom", even when they found online content offensive or objectionable.
http://www.guardian.co.uk/world/2012/oct/04/freedom-internet-protected-william-hague

なお連想で、(choose) the lesser of the two evils という表現が頭に浮かぶ。「悪いものばかりの中ではその度合いが小さい方(どうせ選ぶならそちらを選べ)」、「(あえて選ぶなら)大悪よりも小悪」という意味である。

2つの表現を並べた例をインドのメディアのサイトで見つけた。これも言論の自由と検閲について書かれたものだ。

- If I have to exercise personal choice, I would go for the lesser of the two evils. I would prefer to err on the side of freedom, rather than on the side of censorship.
http://www.tribuneindia.com/2002/20020818/spectrum/main1.htm

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ぴよ

堕胎についての議論を読んでいるときにwe should err on the side of caution and... というフレーズを見つけて、なんだろうと思って調べているとこちらのブログに出会いました。いろいろなサイトのリンクもありがたかったです。
by ぴよ (2019-05-23 09:35) 

tempus fugit

ぴよ さん、お役に立てたのでしたらうれしいです。ありがとうございました。

by tempus fugit (2019-05-24 10:04) 

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