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「ファウンデーション」(銀河帝国興亡史) [読書と英語]

前回取り上げた gnome から頭に浮かんだのが、アイザック・アシモフ Isaac Asimov のSFシリーズ Foundation である。


ファウンデーション ―銀河帝国興亡史〈1〉    ハヤカワ文庫SF

ファウンデーション ―銀河帝国興亡史〈1〉 ハヤカワ文庫SF

  • 作者: アイザック・アシモフ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1984/01
  • メディア: 文庫

いったい何のつながりがあるかというと、この作品を最初に出版したのが「ノーム・プレス」という出版社だと翻訳か何かで読んでいたのだが、ある時この「ノーム」が gnome のことだと知り、へえっと思ったという、いささかオタク的な思い出があるからだ。そして、この Foundation は、私の英語学習のうえで思い出深い作品でもある。

英語を学び始めた頃、私はいわゆる英会話よりも、原書や映画を原語で理解したいという興味の方が強かったことは、これまで何度か書いた(とはいえ、ラジオやテレビの英会話講座もかなり熱心に視聴していた)。中学生の時にはミステリやSFの翻訳をずいぶん読んだが、高校生になって英語のペーパーバックに目が向くようになると、よく手にしたのはミステリよりもSFの方だった。

大きな書店の洋書フロアに行くと、ミステリほどではないが、SFもかなりの数が置かれていた。そして、SFはワクワクするような絵が表紙についているものが多かった。ろくに読めもしないのにSFのペーパーバックを買ったのは、そうした表紙絵につられたところが大きかったと思う。そうした本の中に、中学生の時に翻訳で読んだアシモフの代表作のひとつ Foundation Trilogy もあった。

翻訳は「銀河帝国の興亡」といういささか安っぽい邦題だったが、「銀河帝国」から想像される「スター・ウォーズ」的な戦闘場面は皆無で、かなり静的な内容の作品である。しかしじわじわとした味わいが私には面白く、3冊の文庫本を一気に読んでしまった。


銀河帝国の興亡 1 風雲編 (創元推理文庫 604-1)

銀河帝国の興亡 1 風雲編 (創元推理文庫 604-1)

  • 作者: アイザック・アシモフ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1968/03
  • メディア: 文庫

この作品はギボン Edward Gibbon の「ローマ帝国衰亡史」 The History of the Decline and Fall of the Roman Empire から構想を得たといわれていて、邦題はそれにちなんだものだろう。なお私が読んだ翻訳はすでに絶版で、いまは別の翻訳が「銀河帝国興亡史」という通しタイトルで出ている。

人類が銀河系全体に進出し、地球が発祥の地であることも忘れ去られている遙かな未来、繁栄を極めているかのように見える銀河帝国が実は崩壊に向かっていることに気づいた心理歴史学者がいた。帝国の滅亡は不可避だが、それに続く混乱と暗黒の時代を短縮し、新しい文明の核とするため、彼は人類の科学技術を保存する「ファウンデーション」という組織を作る…という設定である。

物語は、「ファウンデーション」がさまざまな危機を乗り越えて発展していく様子を描いていくが、その過程で、実は「第2ファウンデーション」という、隠されたもうひとつの組織があることが明かされる。それがどんな組織で、どこにあるのかという謎解きの要素も加わって読めるようになっている。

高校生の時に買っただけで放っていた Foundation の3冊のペーパーバックを改めて手に取ったのは、確か大学に入った年だっただろうか。夏休みのある日、最初の巻を眺めていたら、なんだか読めそうな気がしたので、挑戦してみることにした。どれくらいかかったか覚えていないが、手こずりながらも何とか3冊を読み通すことができた。

細かいところは忘れていても一度翻訳で読んで筋を知っていたことが大きく、純粋に当時の英語力だけで読めたのではないのは明らかだったが、曲がりなりにもまとまった英語の本を読んだという達成感は格別で、大きな励みになったものだった。

その後、作者のアシモフはシリーズの4巻目を出版した。いったん完結した3部作から実に30年、そして1992年に死去するまでさらに続編が書かれ、最終的にシリーズは全7巻となった。時間軸では3部作の後の時代を描いた作品のほか、逆にそれ以前にさかのぼった prequel もある。

そうした続編も翻訳や原書で読み、それぞれ楽しんだが、最初の3部作ほど強い印象は受けなかった。内容がどうというより、すでに私自身が大人になって感性がすれてしまったこと、そして何より、3部作は原書を読み通したという個人的体験のため別格の存在だったということだろう。

ところでネットの情報によれば、最初の3部作は、いま映画化の話が進んでいるということだ。しかし原作の内容は映像では伝えにくいのではと思う。相当脚色されて結局はほとんど別物、というようにならなければいいが、と原作のファンの私は考えてしまう。

このシリーズについては、下記の Wikipedia にかなり詳しい記述がある。オサマ・ビン・ラディン Osama Bin Laden がこの作品に影響されたのでは、という説まで言及されていて面白い。ちなみに「アルカイダ」 al-Qaeda というアラビア語は base のほか foundation とも訳すことができるという。
http://en.wikipedia.org/wiki/Foundation_series

ついでに、すでに存在しないノーム・プレス社についての記述も Wikipedia にあったのでURLを掲げておきたい。SFを多く出していた中小出版社だったようだ。サイトに載っているロゴの人物は gnome をあしらったものだろうが、顔が何となくアシモフに似ている。
http://en.wikipedia.org/wiki/Gnome_Press

なお、私が買ったペーパーバックは、イギリスの Panther Books の本である。すでに絶版になっている。当時私をワクワクさせた表紙絵のSF作品の多くはこの Panther のペーパーバックで、クリス・フォス Chris Foss という画家によるものだった。彼のウェブサイトで、この「ファウンデーション」を含め、いくつかの懐かしい絵を見ることができる。
http://chrisfossart.myshopify.com/products/foundation-empire
http://www.chrisfossart.com/

いま書店で見かける「ファウンデーション」の原書は、あまり表紙絵が面白くないアメリカのペーパーバックなのが残念だ。私の実家のどこかに、かつて読んだ3部作のペーパーバックがまだあるはずで、探して見つかったら再読してみようと思っている。

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コメント 4

6

お久しぶりです。すっかりご無沙汰している間に、私にも書き込みができそうなトッピクを拝見しました!

実は私もアシモフのファンだった時期があり、銀河帝国シリーズの第1巻は、ハヤカワSFシリーズの銀背で中上守訳の『銀河帝国衰亡史』で読みました。その後ハヤカワからは続巻が出ないうちに、創元推理文庫から3巻が揃って出てしまいましたが、この第1巻が、ハヤカワ版の訳文を流用しているとSFマガジン編集長の福島正実氏が同誌(のたしか日記欄)で指摘し、創元側がそれを認め、以後の版では中上訳を参考にした旨があとがきに記されることになったと記憶しています。

クリス・フォスの絵もなつかしいですね。銀座のイエナの奥まった埃っぽい一隅に、彼の絵に彩られたパンサー版のペーパーバックが置かれていたことを思い出します。彼の描く宇宙船のことを "bulky" と形容した英文を見かけたこともついでに思い出してしまいました。子守男さんも、イエナには通われたんでしょうか?
by 6 (2010-07-15 21:52) 

子守男

興味深いお話ありがとうございます。創元推理文庫の訳にそんな裏話があったとは知りませんでした。ハヤカワの”銀背”版は読んだことがありません。中上守氏は小説版「スター・トレック」の第1巻を翻訳した人だと思いますが、この小説版のエピソードのタイトルにややいただけない訳がありまして、以前触れたこともあります。
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2008-05-28

イエナ、なつかしいですね。6さんはよく行かれていたのですか。ただ私は自宅の場所もあり、もっぱら新宿の紀伊國屋書店本店と神田の三省堂を利用していました。SFに関しては当時の洋書コーナーの方が充実していたような気がしますが、単に過去を美化しているだけかもしれません。
by 子守男 (2010-07-18 14:44) 

6

結局、ハヤカワの銀背では第1巻が出ただけで、その後、創元が第2,3巻と続けて出してしまったので、中上訳は早々に絶版になってしまいましたね。新シリーズを含めた版権を早川が押さえてからは、全巻がハヤカワSF文庫から翻訳されましたが、今度は、その訳が別宮先生のお目にとまったりして、SF/ミステリ界の翻訳はいろいろありましたね。

英語は読めないくせにペーパーバックは表紙買いする時期があり、イエナ→(徒歩)→丸善日本橋店→(東西線)→高田馬場→ビブロス/芳林堂というのが第1の物色パターン。神保町の三省堂→泰文社→東京堂→北澤書店→(九段下から東西線)→ビブロス/芳林堂というのが第2パターンでした。三省堂の本店が改装するとき、一時的に洋書部門を別店舗に移していたことがありましたが、その時は壁1面近くをSFのペーパーバックが占めていたこともあって、いやあ、あの時代はよかったです。と、私も過去を美化しすぎですね。

現在は、ジュンク堂さんがSF/ミステリに力を入れられているようですが、SFのほうのセレクションはイマイチ感があるのですが……。 (^^;

by 6 (2010-07-21 12:34) 

子守男

>三省堂の本店が改装するとき、一時的に洋書部門を別店舗に移していたことがありましたが、

そう!私が「神田の三省堂」と「当時はSFが充実していた」と感じたのは、まさにその時のことが頭にあったのです。もしかしたら6さんとすれちがっていたかもしれませんね。泰文社にもよく足を運んでいました。

当時は、翻訳で読んでいた50年代の「古典」SFを原書で見つけたり、Star Trek の出たばかりの新しい小説があったり、といったワクワク感があったのが、私の「美化」の背景にあるのだと思います。あと、クリス・フォス調の目を引くカバーアートが最近は少ないように感じています。本文にも書きましたが、現行の Foundation シリーズのアメリカ版PBの装丁は無残なものです。
by 子守男 (2010-07-23 00:59) 

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