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「わずか20秒の列車早発で謝罪」の海外報道に思うこと [ニュースと英語]

先週ある鉄道会社が、定刻より20秒早く列車が発車したことを謝罪したところ、外国メディアが驚きをもって伝え、それを日本のメディアが「海外で話題になっている」と”逆輸入”して報じた。関連する記事をいくつか読んだが、見過ごされたのではと感じたことがあるので、少し書いてみたい。

私がこの話を知ったのはBBCのサイトだった。記事が most read のランキングに入っているのが目にとまったからだ(確か5位だった)。よほどの出来事でなければ、日本のニュースがこうした欄に顔を出すのはまれといってもいいだろう。

BBCの記事を少し引用しよう。

- A rail company in Japan has apologised after one of its trains departed 20 seconds early.

Management on the Tsukuba Express line between Tokyo and the city of Tsukuba say they "sincerely apologise for the inconvenience" caused.

In a statement, the company said the train had been scheduled to leave at 9:44:40 local time but left at 9:44:20.

Many social media users reacted to the company's apology with surprise.
("Apology after Japanese train departs 20 seconds early" BBC Nov.16, 2017)

記事を読んで「何とまあ」と思い、ネットで検索すると、確かにこの鉄道会社のサイトにおわびが掲載されている。早発があった当日のうちに出したようだ。なお、この路線は車掌がいない”ワンマン運転”のシステムを取っている。

- 当該乗務員は(中略)定刻9時44分40秒の発車のところ、発車時刻を十分に確認しないまま、ドア閉じ操作を行い、9時44分20秒に発車(出発操作)してしまいました。

これにより、駅時刻表との相違はなかったものの、定刻より約20秒早発するという事象が発生いたしました。(中略)

お客様には大変ご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
(「お詫び 南流山駅における普通列車の早発について」 つくばエクスプレス 平成29年11月14日)

目にした範囲では国内のメディアは伝えていないようだった。私も、日本人としては大げさに騒ぐような話ではないと思った。

日本の話に限らないが、何を面白いと考えるかは、その国の人と外国人とでは受け止め方や視点が違っても、別におかしいことではない。

そう思っていたが、あくる日になって、日本のいくつかのメディアが「海外で話題になっている」という形でこの話を取り上げていた。BBCの他にも報じている社があるという。

大事件・大事故の類ではないので、最初にどこか(BBC?)がおわびを見つけて報じ、それを見た他社がならったのではないか。いずれにせよ、報じる価値や面白さがあると複数の外国メディアが判断したことになる。

こうした記事の切り口や、寄せられていた読者からのコメントについて深入りはしないが、容易に想像がつく反応が並んでいた。日本の鉄道の精確な運行や、わずか20秒の違いにおわびをしたことに対しての感嘆・驚嘆、あるいは「過剰反応だ」という呆れ声、などなど。

私も軽い気持ちで一連の記事を読んでいたが、ふと、「一般乗客向けの時刻表が秒単位で発車時刻を表示しているはずはないのに、20秒の違いで、わざわざおわびを出す必要があったのだろうか」と思った(上記で引用はしなかったが、おわび文には「苦情は来ていない」とも書かれている)。

そこで発表文を再読して、「(発車時刻を)十分に確認しないまま、ドア閉じ操作を行い」という点こそが、最もおわびの対象となる行為なのだとあらためて気づいた。

ただ、「十分に確認しないまま」というのは、具体的にどういうことだったのか、と疑問が湧いてきた。しかしおわびの発表文には書かれていない。

そこで、さらにネットを調べると、あるニュースサイトが独自に取材して書いた、次のような記事を見つけた。

- 「皆様、20秒という時間ばかり気にしていらっしゃるようですが...」。首都圏新都市鉄道の広報担当者は11月17日、J-CASTニュース編集部の取材にそう切り出し、謝罪声明を発表した背景を以下のように説明した。

つくばエクスプレスでは自動列車運転装置(ATO)と呼ばれるシステムを採用しており、発車メロディが発車定刻時間の15秒前に流れるよう設定している。9時44分40秒に出発する列車の発車メロディは、同25秒に流れるはずだが、列車は同20秒に発車。発車メロディや「ドアが閉まります」のアナウンスが発車後に流れるという、奇妙な現象が発生したのだ。

担当者は、「列車が発車する直前、何のアナウンスもなく突然、扉が閉まってしまいました。(中略)現場の方からすれば、不安になる場面だったと思います」
と謝罪の真意を説明した。
(「海外騒然の『20秒早く出発』謝罪 鉄道会社がその真意明かす」 J-CASTニュース 11月17日)

別のニュースサイトも独自取材をしていた。

- 担当者:運転台には、行路、到着時刻、出発時刻をまとめたメモが置いてあり、乗務員は、メモで確認をしつつ、自分の時計でも時刻を確認します。
今回は、それが十分できていなかったので、基本動作を徹底することに努めていきます。

確かにメロディーが流れていないのに、いきなりドアが閉まって動き出したらびっくりしてしまうだろう。20秒のズレと聞くと誤差のように思ってしまうが、鉄道では見過ごすことができない大きな問題だということがよく分かった。
(「つくばエクスプレスが20秒『早く』発車して謝罪。どんな影響があった?」 ホウドウキョク 11月17日)

ニュースのおもしろさとしては(特に海外のメディアにとっては)どうしても「わずか20秒」の方に関心が行ってしまうのだろう。しかし実は、まかり間違えば安全にかかわりかねない運行上の確認不足があったことになる。

「不安になる場面」や「びっくりしてしまうだろう」というレベルにとどまらず、見方によってはある種の「ヒヤリ・ハット」事例であり、真に問うべきはこちらの方だった、とはいえないだろうか。「わずか20秒をめぐるおわび」についての話題になったことで、本質的なことが霞んでしまったように思う。

といっても、この点を取り上げた海外メディアがまったくなかったわけではなかったので、目にとまった記事から引用しよう。

- A spokesman said the apology was issued because strict safety procedures were not followed.

“What matters is not the 20 seconds. . . . The point is that our formal procedure should be this: A sound rings 15 seconds before the departure, followed by an announcement asking for caution due to the closing doors, and then the doors shut,” he said.

Lax management could cause safety problems in the future, the spokesman said.
("Tokyo railway ‘deeply sorry’ after train leaves 20 seconds early" AFP-Jiji Nov.17, 2017)

いずれにせよ、今回のニュースに限らず、海外のメディアが取り上げる日本の出来事は、彼らなりの視点で選択され、分析されている。

そして同じように、日本のメディアで伝えられている外国の姿は、やはり日本(人)の視点を通して描かれていることになる。

それは避けられないことでもあり、間違っているというつもりはない。ただ、ある種のフィルターあるいはレンズを通して届けられたものだということは、頭の隅に置いておいても損はしないだろうと考えたしだいである。

過去の参考記事:
「ヒヤリ・ハット」とその英訳


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