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His habits got the best of him.「悪癖(麻薬)に溺れた」(続・「スティーリー・ダン」のウォルター・ベッカー死去) [音楽と英語]

数々の名曲で知られる「スティーリー・ダン」のメンバー、ウォルター・ベッカーの死去について先日書いたが、相棒のドナルド・フェイゲンが弔文を発表している。その中から、表題の表現を取り上げたい。

英語の学習に役立つと思ったほか、この部分を誤訳している書き込みをネットで目にしたからでもある。

まずはこの部分を、Donald Fagen の追悼文から引用しよう。

- Walter Becker was my friend, my writing partner and my bandmate since we met as students at Bard College in 1967.(中略)

His habits got the best of him by the end of the seventies, and we lost touch for a while.

この habit や get the best of... を見て、具体的には書かれていないものの、「ははあ、そういうことだな」とピンときた。

habit は「習慣」と覚えた人が多いと思うが、この単語には「くせ」、さらには

- (しばしば the~)(口語)麻薬(ヘロインなどの)常用癖 (addiction)
(研究社英和大辞典)

- (informal) an additive practice, especially one of taking drugs
(Oxford English Dictionary)

- a strong need to keep using drugs, alcohol or cigarettes regularly
He began to finance his habit through burglary.
(OALD)

という意味がある。

フェイゲンは drug などの言葉は使っていないが、当時のミュージシャンの悪癖といえばやはり「ヤク」「クスリ」であり、「ベッカーは麻薬にどっぷり浸かってしまっていた」「ドラッグ依存だった」と言いたいと考えて間違いあるまい。

get the best of もそれを裏書きする。この表現は get the better of と同じ意味で、「~に勝つ、まさる」「うまくやる」という語義しか載せていない辞書もあるが、中には次のような記述もある。

- (病気が)(人)を参らせる
(研究社英和大辞典)

- His arthritis gets the best of him from time to time.
(注・arthritis 関節炎)
(Dictionary.com)

そして今回の言葉について、次のように書いている記事もあった。

- Hinting at Becker’s past battle with drug addiction, he added: “His habits got the best of him by the end of the seventies, and we lost touch for a while."
("Steely Dan's Walter Becker dead aged 67: Tributes paid to legendary rocker" Daily Mirror, Sept. 3, 2017)

ネットを見ていたら、フェイゲンの言葉を「彼の習慣は70年代に最も良くなった」というような訳で紹介している書き込みがあって、あれっと思った。突然「彼の習慣」といわれても何のことかわからないし、失礼だが明らかに誤訳というべきだろう。それもあって今回書いてみたしだいである。

なお、注意すべき better や best について以前取り上げたことがあるので、ご参考まで(→ 「より良い」ではない better)。

ところでフェイゲンが発表した弔文だが、私生活でも長年の友人だったベッカーとの思い出を淡々と振り返るという感じで、特に大げさな形容詞を使っているわけではない。

しかし、それがいかにもクールなイメージを持つ「スティーリー・ダン」とフェイゲンに似合っているし、だからこそ、

- I intend to keep the music we created together alive as long as I can with the Steely Dan band.

という最後の文が、簡潔ながらしみじみ効いてくるようにも感じた。

そしてこの言葉の通り、フェイゲンが「スティーリー・ダン」として今年の秋にアメリカ国内ツアーを行うことがつい先ごろ発表された。前回私は、「スティーリー・ダンは事実上消滅することになるのだろうか」と書いたが、思い違いだったことが何ともうれしい。


彩(エイジャ)

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タグ:訃報
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