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wacky 「ヘンテコな、イカれた」、wacko 「変人」 (アニメ「チキチキマシン猛レース」) [英語文化のトリビア]

前々回の「モグラたたきの英語」から始めた whack がらみの話を続ける。この単語が wacky と関係があるらしいことを辞書で知り、あっと思った。wacky は日本で人気があったアメリカのアニメの原題で覚えたので私には印象が深い言葉だが、whack とのつながりには気づかなかった。

そのアニメは、私が小学校低学年の時に見ていた「チキチキマシン猛レース」というテレビ番組で、Wacky Races という原題であることを大学生になってから何かで知った。

今となっては知らない人も多いだろうからあれこれ書くのは気がひけるが、マンガチックなレーサーたちがマンガチックなマシンを駆っておかしなカーレースを繰り広げるというコメディで、同級生の間では大変な人気があった。



悪役かつ事実上の主人公である「ブラック魔王」というレーサーは、毎回悪だくみをして1位を狙うが、結局はいつも敗れ去る。彼とその相棒の犬「ケンケン」は視聴者に人気があり、私が大人になってからもCMに使われて目にしたことがあるほどだ。

わけのわからない人にはわけのわからない話はこれくらいにして、このアニメの原題で覚えた単語が wacky 「風変わりな」「おかしな」「気の変な」である。

- wackier, wackiest
absurdly or amusingly eccentric or irrational : crazy
wacky ideas
a wacky comedian
My wacky aunt takes a swim before the lake freezes every winter.
the wacky world of his imagination
(Merriam-Webster.com)

そして今回、whack について辞書を眺めていたら whacky という単語を見つけ、「= wacky」と説明されていたので、おっと思った次第である。

とはいえ、whack 自体には「変」に直接つながるような語義は辞書を見る限り書かれていない。手がかりを探して wacky の方を見ると、次のような記述が見つかった。

- (人・言動が)風変わりな、とっぴな、おかしな;気の変な
n. (複合語)...狂、...マニア(また whacky)
(1936.おそらく whack (名詞:類例は out of whack)+ -y)
(ランダムハウス英和大辞典)

- Slang
1. Eccentric or irrational: a wacky person.
2. Crazy; silly: a wacky outfit.
[Variant of whacky, probably from the phrase out of whack; see WHACK.]
(American Heritage Dictionary of the English Language)

ここに出てくる out of whack 「調子が悪い」は前回取り上げた表現だが、そこから whacky そして wacky ができたのでは、ということのようだ。

しかし、他の辞書にはこれとは違う見方も載っていた。「強打(する)」という whack の意味から「頭を打たれておかしくなった」ということではないか、という説である。

- C19 (in dialect sense: a fool, an eccentric): from whack (hence, a whacky, a person who behaves as if he had been whacked on the head)
(Collins English Dictionary)

- "crazy, eccentric," 1935, variant of whacky (n.) "fool," late 1800s British slang, probably ultimately from whack "a blow, stroke," from the notion of being whacked on the head one too many times.
(Online Etymology Dictionary)

ということで由来は確定していないらしい。それでも、whack と何らかの関係あるというのはほぼ間違いないように思われる。

先日書いたように(→ once bitten, twice shy #2 (「ラスト・クリスマス」のジョージ・マイケル死去))、what など wh- で始まる単語は 語頭を /hw/ とせずに /w/ と発音することが多い。元々の由来はともかく、whacky がこのように発音され、それに沿った綴りということで wacky ができたのかもしれない。

なお、やはり大学生の時に知ったのが wacko 「変わった人、イカれたヤツ」である。こちらは映画か何かで登場人物が "Wacko!" と呼びかけに使っていたもので、響きがおもしろかったのですぐに覚えた。名詞だけでなく wacky と同じ意味の形容詞としても使える。whacko というスペリングもある。また -o のない wack も「変人」を指す。

ということで、10歳に満たない頃にテレビでアニメを楽しんでから10年ほど後に、その原題から wacky という単語を知り、さらにそれから30年以上経って whack とのつながりに初めて気づき・・・と、まさに英語は生涯学習だなと実感する。

以下は余談になるが、かなり細かい情報まで載せている英和辞典「リーダーズ・プラス」も Wacky Races は収録していなかった。私が持っている辞書で記載があったのは「和英・英和タイトル情報辞典」(小学館)だったが、定冠詞つきの The Wacky Races と、誤った情報になっていたのが残念だ。

もうひとつ、「チキチキマシン猛レース」という日本版のタイトルは、今年最初のエントリ(→ 酉年 the year of the Rooster にちなんで英語のトリビアを少々)でも触れた「チキンレース」 game of chicken をひねったのではないかと私は想像していた。しかしこの番組についての日本版「ウィキペディア」の記述によればそうではなく、映画「チキ・チキ・バン・バン」から借用したとのこと。こちらも自動車を描いた作品(ミュージカル)で、主題歌は日本でもヒットした。

さらに余談を続けると、この「チキ・チキ・バン・バン」の原作者は、意外なことに007ことジェームズ・ボンドを創造したイアン・フレミング Ian Fleming である。また原題は Chitty Chitty Bang Bang で、これに沿った日本語にすると言いにくいので「チキ・チキ~」に変えたのだろう。

ついでに、007の映画「サンダーボール作戦」 Thunderball の主題歌は、当初 Mr. Kiss Kiss Bang Bang と題した別の曲が予定されていたが取りやめになった、というのはファンの間では有名な話だ。女と射撃に強いスパイということで「キス・キス・バン・バン」としたのだろう。またお蔵入りになったこの歌のタイトルと Chitty Chitty Bang Bang は関係があるのかないのか、さらに調べるとおもしろそうだが、きりがないので今回のリサーチはここまでとしよう。


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コメント 3

Kawada

「チキチキマシン猛レース」は、小学生の頃に観たのが最後でした。
その頃はケーブルテレビと契約しておりましたので、上に挙げた番組の他、「トムとジェリー」(カートゥーンネットワークにて放送)なども観ておりました。
まさか、このようなアニメのネタが記事になってしまうとは驚きでした。
ゼミ生の頃、「何かいいものはないか」と思案しておるときに、「チキチキマシン猛レース」を調べてみましたが、Tempus fugit様のような記事を書くには至りませんでした。
あの頃、あのアニメを踏まえて、記事に加工できていれば、違った方向に歩んでいったかもしれません。
某ゼミの某ブログで検索をかけた結果、現役ゼミ生の記事がヒットいたしました。私がこのようことを書くのもおこがましいですが、その方の記事は(過去の私の記事は物足りなかったかもしれませんが)それよりも物足りない印象を受けました。
ぜひその方には、この記事を読んでいただきたいと考えます。
とはいえ、かくいう私も過去にloose-limbedを取り上げた後に先生から「"Foot loose"って知ってるか? loose cannonも取り上げにゃ」と指摘を受けたことがありました。過去の記事も見直してみると、違った味がするように思いました。

最後に私の「トムとジェリー」に関する記事を貼っておきます。

http://d.hatena.ne.jp/A30/20141117/1416194713

http://d.hatena.ne.jp/A30/20141121/1416517555

よろしくお願いします。
by Kawada (2017-01-09 11:27) 

tempus fugit

若いKawadaさんもご存知のアニメだったんですね。そうか、今はケーブルテレビがあって過去の作品も流れていますしね。「トムとジェリー」についての記事どうもありがとうございました。

今回は「チキチキマシン~」をネタにしたというより、whack について辞書を見ていてたまたま wacky につながったというだけです。私も以前 loose cannon についてちょっと書いたことがありますが(→「やられ役」を英語で何という? http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2007-06-27)、"Foot Loose"などに触れることは思いつきませんでした。

まあ、気がつけば気がつくし、気がつかなければそれでよし、とあせらずに英語を学んでいこうと思っています。

by tempus fugit (2017-01-09 17:55) 

Kawada

Tempus fugit様
コメントを拝見し、Tempus fugit様の英語学習法に深く共感いたしました。
今までの私は、「知識を貯めなければ」と強迫観念に駆られて学習していました。今だから言えることですが、その当時は頭に血が上った状態でした。そのことが、学生時代の英語学習にブレーキをかけていました。卒業後、「知識を貯めなければ」と強迫観念に駆られて取り組んだことの一環で、役に立ちそうなテレビ番組の視聴も繰り返しましたが、時間が無駄になってしまい、後悔しております。
それに比べたら、Tempus fugit様の学習法にあるような割り切った考え方があった方が、今より幸せな人生が歩めたのではないかと思うほどです。
by Kawada (2017-01-09 20:19) 

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