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「賞」ではない award (国際仲裁裁判所、南シナ海での中国の主張を認めず) [注意したい単語・意外な意味]

award には「賞(を授与する)」のほか、「賠償金の額(を言い渡す)」という意味がある。それは知っていたが、ハーグの仲裁裁判所が南シナ海での中国の権益を認めなかったというニュースを読んでいたら、この単語が出てきた。「そうか、損害賠償だけでなく仲裁裁判にも使えるんだ」と、自分の不明を恥じた。

裁定が下されたあと、訴えられた中国と提訴したフィリピンが出したコメントを報じるロイター通信の記事には award が立て続けに出てきたので、実例としてはこれを紹介しよう。

- China “solemnly declares that the award is null and void and has no binding force. China neither accepts nor recognizes it,” its Foreign Ministry said.
“China's territorial sovereignty and maritime rights and interests in the South China Sea shall under no circumstances be affected by those awards. China opposes and will never accept any claim or action based on those awards," the statement said.
(中略)
"Our experts are studying this award with the care and thoroughness that this significant arbitration outcome deserves," (the Philippines') Foreign Affairs Secretary Perfecto Yasay told a news conference.
("South China Sea row: Hague Tribunal rules in favor of Philippines, China to ignore decision" Reuters 12 July, 2016)

辞書で award の意味や例文を見てみよう。

- n. 賞、賞品 (prize)、栄誉 (honor);授与されるもの
(法律)裁定書、審判、判定;裁定、(損害賠償などの)裁定額、奨学金
vt. (賞などを)(審判の上で)授与する (confer, grant)
(罰などとして)課する (to)
(法律)(仲裁裁判などで)裁定する、(判決で)認める、与える
(研究社英和大辞典)

- The plaintiff was awarded damages of $100,000.
give an award for (against) …の勝訴(敗訴)とする
(ランダムハウス英和大辞典)

かくいう私も、award を見てとっさに頭に浮かぶのは「賞(を与える)」の方だ。しかし由来の説明を見ると、

- 初14c;アングロノルマン語 awarder, 「a- (強意)+-ward(観察する、決定する)=よく観察し、判定して(与える)」 cf. aware, beware, reward, ward, ware
(ジーニアス英和大辞典)

- Meaning "something awarded" is first attested 1590s.
(Online Etymology Dictionary)

とあり、むしろ「賞」の方があとにできたということがわかった。

仲裁裁判所の公式サイトを見ると、the nine-dash line 「九段線」内の中国の権益を認めなかった今回の裁定の広報文が掲載されている。本文や項目見出しで(当然だが) award が使われていたので少し引用しよう。なおこれを読むと、日本の新聞にあった「低潮高地」(満潮になると水没する土地)が英語で low-tide elevation ということなどもわかっておもしろい。

- The Tribunal Renders Its Award
A unanimous Award has been issued today by the Tribunal constituted under Annex VII to the United Nations Convention on the Law of the Sea in the arbitration instituted by the Republic of
the Philippines against the People’s Republic of China.

- The Award of today’s date addresses the issues of jurisdiction not decided in the Award on Jurisdiction and Admissibility and the merits of the Philippines’ claims over which the Tribunal has jurisdiction.

- The Award is final and binding.
(https://pca-cpa.org/wp-content/uploads/sites/175/2016/07/PH-CN-20160712-Press-Release-No-11-English.pdf)

余談だが、「アワード」という表記を目にすることがある。しかし私はどうもなじめず、「Star Wars は”スターワーズ”じゃないのに」と言いたくなる。と思ったら、以前にも同じことを書いていた(→ 動詞の dwarf)。一方で私は、「慣用になったカタカナ表記について原音と違うと批判するのはナンセンス」と何度か書いてきたので、いいかげんである。しかしそれでも「アワード」は慣用表記として定着してほしくないな、と思う。

なお以前に書いた記事といえば、仲裁裁判所のあるオランダの「ハーグ」は、英語では大文字で始める定冠詞をつけて The Hague となることを取り上げているので、参考までにあげておきたい(→ 定冠詞がつく The Hague をめぐるあれこれ)。

中国は以前から「自分たちの主張を認めない裁定が出ても従わない」という強硬な姿勢を示している一方で、対話には応じるといった、事を荒立てたくないとも受け取れるメッセージを発しているそうだ。事態は今後どのように動いていくのだろうか。

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タグ:国際問題
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