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ミサイルと rocket は違うのか (北朝鮮が弾道ミサイル発射) [注意したい単語・意外な意味]

北朝鮮が発射したのは「ミサイル」なのか「ロケット」なのか。今回もまた、呼び方についての疑問・議論をネットで目にした。「海外メディアは“ミサイル”ではなく“ロケット”を使っている」というような指摘だが、日本語と英語を1対1で結びつけたことによるズレがあるのではないかと感じる。

日本語の「ロケット」と「ミサイル」の使い分けは、かなりはっきりしているのではないかと思う。

簡単にいえば、前者は科学目的であり平和利用、後者は兵器である。前者も「ロケット弾」として兵器に使うことはあるが、「ロケット」と単体で言った場合は、ふつう平和利用を思い浮かべるだろう。また、大気圏外まで飛ぶロケットと長距離弾道ミサイルは技術的には同じものであり、ロケットに攻撃目的の爆発物を積んであれば、それはすなわちミサイルだ。

では、英語の rocket はどういう意味だろうか。

- 1. [countable] a spacecraft in the shape of a tube that is driven by a stream of gases let out behind it when fuel is burned inside
a space rocket
The rocket was launched in 2007.
The idea took off like a rocket (= it immediately became popular).
2. [countable] a missile (= a weapon that travels through the air) that carries a bomb and is driven by a stream of burning gases
a rocket attack
(OALD)

- 1. a. A rocket engine. b. A vehicle or device propelled by one or more rocket engines, especially such a vehicle designed to travel through space.
2. A projectile weapon carrying a warhead that is powered and propelled by rockets.
(American Heritage Dictionary)

その他の辞書の記述も、基本的に同じである。つまり、英語の rocket は平和利用の「ロケット」とあわせて、兵器の「ミサイル」も指すということになるはずだ。

そこで英語圏では、「今回発射したのは rocket か missile か、どう呼ぶべきか」というような議論は、少なくとも一般レベルではめったに起きないのではないかと想像する。rocket の方が「ロケット」よりも使い勝手がいい、ともいえるだろうか。

いずれにせよ、北朝鮮が「人工衛星の打ち上げであり、平和利用」といくら主張しようとも、ミサイルとして利用するために開発を進めている疑念が濃厚であることに変わりはなく、国連安保理決議もこうした打ち上げを一切しないよう求めている。

その国連の公式サイトは、今回の発射についてはっきりと missile を使った英文を載せていた。それも、国連事務総長が出した statement を伝えるものである。

- Secretary-General Calls Missile Launch by Democratic People’s Republic of Korea ‘Deeply Deplorable’

It is deeply deplorable that the Democratic People’s Republic of Korea has conducted a launch using ballistic missile technology in violation of relevant Security Council resolutions on 6 February, despite the united plea of the international community against such an act.
( http://www.un.org/press/en/2016/sgsm17516.doc.htm )

というわけで、英語の面からも、また国際情勢を考える観点からも、「海外メディアは“ロケット”を使っているのに日本の政府やマスコミは“ミサイル"を使っている」といった議論は本質的なものではなく、大きな意味はないといえると思う。

むしろおもしろいと思うのは、日本では「“人工衛星”と称する弾道ミサイルの発射」とか「事実上のミサイル発射」といった、もってまわった表現が使われていることだ。北朝鮮の意図を正式には確認できないからということだろうが、国連でも missile を使っているのに日本の政府やマスメディアがこうした言い方をしているのは、日本人の持つ真面目さというか潔癖さを反映しているように思えるのである。

なお、「事実上(のミサイル)」を英語で表現する場合、直訳的な virtual とか de facto といった形容詞を使ってもいいのかもしれないが、多少長くなるものの、英文記事でよく目にする "believed to be a long-range missile test" とか、「ニューヨーク・タイムズ」紙の見出しにあった

- North Korea Launches Rocket Seen as Cover for a Missile Test
( http://www.nytimes.com/2016/02/07/world/asia/north-korea-moves-up-rocket-launching-plan.html )

といった言い方を利用する手もあると思う。

ついでだが missile の発音は、/misl/ (s のあとにあいまい母音が入ることもある)また /misail/ の2つがある。後者はイギリス式で、日本語はこちらにならった形となっている。

また「弾道(ミサイル)」の ballistic は、古代の石投げ器を意味する ballista から来ているという。コーヒーの「バリスタ」は barista で、当然だがまったく関係はない。

関連記事:
「ミサイル」と「ロケット」と「飛翔体」


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タグ:国際問題
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