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"It's not brain surgery." というイディオムがベン・カーソン候補に使われると・・・ [アメリカ政治]

前回はアメリカ大統領選挙に立候補しているベン・カーソン氏について書いたが、氏は小児神経外科医だったこともあり、It's not brain surgery. という決まり文句がおもしろい形で使われているようなので、ついでに取り上げたい。

まず brain surgery は、「脳外科」しか載せていない辞書があるが、「高度な技術を要する複雑なもの、難しいこと」という意味もある。そこで否定形にすると「難しいことではない」ということになる。

オンライン辞書の説明を引用しよう。

- (uncountable, idiomatic) Something that is overly complex, detailed or confusing.
It's not brain surgery. Just screw in the bulb and flip the switch.
(Wiktionary)

- it's not brain surgery
(informal) used to emphasize that something is easy to do or understand
(OALD)

そこでカーソン氏だが、その過激ともいえる発言が注目を集め人気も高まる一方で、一方で風当たりも強くなっているのは前回も書いた通りである。そして、この It's not brain surgery. がひねった形で使われているようなのだ。

今年8月、共和党の候補者によるディベートを前にして、カーソン氏はマスメディアに対して "It's not brain surgery." と言っていたことが、ネット上のニュース記事を読むとわかる。"Brain surgery is much more difficult." と述べたこともあったそうだ。

カーソン氏は頭部が結合した双生児の分離手術に成功して一躍有名になったが、そうした自分の経歴も踏まえて、意図的にこうした表現を使ってディベートに向けた自信を示したのかもしれない。

そうこうしているうちに、マスメディアのコラムなどで、カーソン氏について "It's not brain surgery." が使われているのを目にするようになった。本人がディベートを前にこの言葉を吐いたことを私が知ったのはしばらく経ってからだったが、いずれにせよ、はじめは「難しいことではない」という意味にとらえていた。

しかし、そのうちに「どうもおかしい」と思うようになった。そうした記事はカーソン氏に批判的なことが書かれていて、しっくりしない。はじめは皮肉かと思っていたが、

- Dear Dr. Carson, being president isn't exactly brain surgery
(The Dallas Morning News, Oct. 8)

というような、もう少し説明的なタイトルを目にして、そうか、こうした (not) brain surgery は、文字通り「大統領の職は脳外科医の仕事とは違う」と言いたいのだろう、と気づいた。

元外科医のカーソン氏に対して、「脳外科手術はあなたにとって確かに簡単なのかもしれないが、大統領の仕事をそれと同じように考えているとしたら、それはお門違いじゃありませんか?」ということを、彼自身が使った "It's not brain surgery." で表現している、というわけである。

そう考えても的はずれではなさそうだ、と思わせる援軍のような記事を「ワシントン・ポスト」で見つけた。その冒頭は次のようになっている。ここに出てくる It's not rocket science. は、brain surgery の代わりに「ロケット工学」になぞらえた、同じ意味を持つイディオムである。

- “It's not brain surgery.

"It's not rocket science."

What these phrases generally mean is that something is easy. Basic. A child could do it.

But the more I hear Ben Carson speak, the more I think that the phrase ought to have another meaning: It is not something that you should expect Ben Carson to be expert in.
("Dr. Carson, this is not brain surgery" The Washington Post, Nov. 5 2015
https://www.washingtonpost.com/blogs/compost/wp/2015/11/05/dr-carson-this-is-not-brain-surgery/)

くどくど書いてしまい、「何だそんなことか」といわれそうだが、この表現の「難しい」という意味を知らないほうが、かえって素直に理解できるのかもしれない、と感じたしだいである。英語学習とは難しいものだ。

なお、「難しくない」あるいは「簡単なこと」を表す口語表現は、no-brainer, child's play, a piece of cake, a cinch, a breeze などいろいろある。英会話のテキストなどでご存知の方も多いことだろう。

カーソン氏は経歴詐称の疑惑が取り沙汰されるようになっているが、トランプ氏とともに、いつまで好調が続くのか。まだまだ前哨戦で先は長いとはいえ、こうした「色もの」候補への支持がここまで拡がっているのは、正直ちょっと信じがたいことだ。

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