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betray 「さらけ出す、あらわにする」 (カズオ・イシグロ「日の名残り」) [注意したい単語・意外な意味]

前回はカズオ・イシグロの名作「日の名残り」から、person という単語の持つ"ちょっと意外な意味"を実例とともに取り上げたが、同じように「一対一対応」で考えるとまずい例がこの作品に出てきた。

betray がそれで、「裏切る」という訳語だけでこの単語をとらえている人は、以下の文を読むと戸惑うはずである。

主人公の執事が仕えているダーリントン卿という人物が、ある団体と一時関わりを深めたものの後に関係を絶ったことについて、主人公が回想している場面である。

- ... and these visits all took place during the early days of that organization before it had betrayed its true nature. Once the ugliness of the blackshirts' movement became apparent--and let it be said his lordship was quicker than most in noticing it--Lord Darlingtoon had no further association with such people.
(The Remains of the Day by Kazuo Ishiguro)

もうひとつは、主人公が新しい主人(アメリカ人)に関して述べている場面にも使われていた。

- I could not help but get the gist of what was being said, and was surprised by the extent of my employer's knowledge, which, despite the occasional infelicity, betrayed a deep enthusiasm for English ways.
(ibid.)

さらに自分の学習ノートを検索してみると、ジェームズ・ボンドものの原作小説「007は二度死ぬ」で見つけた例もメモしていた。"ボンドガール"であるキッシー・スズキという日本人女性が、夜間、敵に見つからないように行動している場面である(ちなみに映画版では浜美枝がこの女性を演じていた)。

- Kissy stayed in the water, clinging to a clump of seaweed, in case the moon might betray her gleaming body to a sentry or a chance patrol.
(You Only Live Twice by Ian Fleming)

ということで、「裏切る」ではない betray の意味を辞書から引用しよう。

- (できれば隠しておきたい特徴・無知・弱点などを)(うっかり)さらけ出す、無意識に示す
betray oneself 本心を表す
Her nervousness betrays her insecurity. 彼女のいらだちは自信のなさをおのずと示している

(~であること)を示す、表す、見せる、あらわにする(that節)
Her age was most clearly betrayed in her hands. 彼女の年齢はその手に最もよく現れていた
His red eyes betrayed (the fact that) he had not slept. 赤い目をしていたので彼が睡眠を取っていないことが分かった
(ランダムハウス英和大辞典)

- (物・事・人が)(感情・無知・弱点などを)うっかり表す(示す)
(しばしば目的語+補語を伴って)(物・事・人が)表す、示す(show)
a building which betrays great antiquity 非常な古さが見える建物
His accent betrays his (to be (as)) a Londoner.
彼のなまりでロンドン子だと知れる
(研究社新英和大辞典)


You Only Live Twice

You Only Live Twice

  • 作者: Ian Fleming
  • 出版社/メーカー: Penguin
  • 発売日: 2009/07/02
  • メディア: ペーパーバック


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コメント 4

uk_alien

revealとかgive awayの意味合いですよね。こういう観察者側の意識の微妙なニュアンスを現せる単語をさらっと使えるようになりたいです。カズオ・イシグロの本は「日の名残」と「Never let me go」を読みました。どちらもとても印象深かったです。また遊びにきますね。
by uk_alien (2015-06-22 19:06) 

tempus fugit

uk_alienさん、コメントありがとうございました。イシグロは最近新しい作品を発表しましたが、私はこのところゆっくりと文学書を読むような心のゆとりがありません。もしお読みになったら感想を聞かせてください。またぜひ遊びに来てくださいませ。
by tempus fugit (2015-06-22 22:52) 

英語学習者

読みっぱなしではありますが、私はカズオ・イシグロの本はすべて読んできました。きっかけは、彼の経歴に興味をもったことと、この「日の名残り」の(内容というよりも)文体に惹かれたということがありました。もう昔のことですね。
The Buried Giantも一応目を通しました。ただ私は最近自分は小説というものを読めない人間だと思ってきています。この作品も「記憶」がテーマで、それについてXというメッセージを発信する、そのための装置metaphorという(貧しい)読み方をすると、さほど深遠なものを感じられず、かといって作品の物語り性、ファンタジー的settings、detailsを楽しめるかというと・・・。でも英語的には、ある一つの頻出する(と私には感じられた)構文に興味を持ちました。いつか記事にしたいと思っています。

by 英語学習者 (2015-08-31 14:29) 

tempus fugit

英語学習者さん、コメントありがとうございました。イシグロの新作について、しっかりと読み込んでおられるようで、うらやましいです(私はどんな小説も、単純におもしろかったか、そうでないかというレベルの読み方しかできません)。記事にしましたらぜひ教えて下さい。

by tempus fugit (2015-09-01 00:19) 

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