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TINA = There Is No Alternative (安倍総理のアメリカ議会演説を読む・その2) [英語文化のトリビア]

前回に続いて、安倍総理のアメリカ議会演説から取り上げる。構造改革を進めるという決意を強調するくだりで、安倍氏は TINA という言葉を使っていた。「ティーナ」と発音し、直後に There is no alternative. と言い換えていたので、その頭文字を取ったものだとわかる。

「首相官邸」のサイト ( http://www.kantei.go.jp/ ) にある英語の原文と日本語を引用しよう。

- Japan will not run away from any reforms. We keep our eyes only on the road ahead and push forward with structural reforms. That's TINA: There Is No Alternative. And there is no doubt about it whatsoever.
(日本は、どんな改革からも逃げません。ただ前だけを見て構造改革を進める。この道のほか、道なし。確信しています。)

こうした単語といえば、たとえば「なるはや」にあたる ASAP とか、AFAIK、また LOL IMHO などが電子メールやウェブの掲示板でおなじみといえるだろう。しかしTINA は私にとって初めてで、目にした記憶がない。

辞書を見ると、「ティーナ」のように発音することが確かめられるとともに、イギリスの故サッチャー首相にゆかりのある言葉であることがわかった。

- (口) there is no alternative (英国首相 Margaret Thatcher の政治姿勢についていわれた)
(リーダーズ英和辞典)

- There is no alternative (shortened as TINA) was a slogan often used by the Conservative British Prime Minister Margaret Thatcher.
(中略)
The phrase may be traced to its emphatic use by the nineteenth-century classical liberal thinker Herbert Spencer.
(Wikipedia "There is no alternative")
http://en.wikipedia.org/wiki/There_is_no_alternative )

「鉄の女」と呼ばれたサッチャー首相は1980年代、アメリカのレーガン大統領とならんで保守派・現実路線の旗手として令名を馳せ、あるいは批判を浴びていた。

今の若い世代にとってはすでに歴史の中の人物、あるいは聞いたこともないという人もいるかもしれないが、数年前に彼女を描いた映画が製作され、少しは知名度が回復したのではないだろうか。

演じたメリル・ストリープのファンである私も観に行った。アメリカ人女優であるにもかかわらずイギリスの批評家からも絶賛されたように、彼女の英語と演技はすばらしかったが、映画自体は、政治家サッチャーを描きたかったのか、家庭人としての苦悩を描きたかったのか、中途半端なところがあって印象は今ひとつだった。

この映画にも TINA が出ていたとしても気づかなかったわけだが、それはそれとして、サッチャー氏とこの言葉のつながりについてさらに知りたいと思ってウェブを見ると、例えば、サッチャー氏を賞賛しているキャメロン首相についてのBBCの最近の記事が、

- Economy: There is no alternative (TINA) is back

She's back. She's not been heard of since the 1980s. She's been brought out of retirement by David Cameron. She is TINA - "There Is No Alternative" - the phrase forever associated with Mrs Thatcher in the 1980s.
"If there was another way I would take it. But there is no alternative".
( http://www.bbc.com/news/uk-politics-21703018 )

として、キャメロン首相の言葉を紹介していた。

また、検索でヒットしたサッチャー氏の画像にも、この言葉を掲げているものがあった。

一方で、「オックスフォード辞典」のサイトには "The Iron Lady: Margaret Thatcher’s linguistic legacy" と題した数年前の記事があり、その中に下記の項があった。

- Call me Tina - there is no alternative

This is perhaps a more ephemeral, and consequently a less familiar, example, unless you are of a certain age. In the British newspaper the Daily Telegraph on 22 May 1980, Mrs Thatcher wrote:
“There’s no easy popularity in what we are proposing, but it is fundamentally sound. Yet I believe people accept there is no real alternative”. (以下略)
( http://blog.oxforddictionaries.com/2013/04/margaretthatcher/ )

ここにある ephemeral は、ephemera 「かげろう」 の関連語で、「短命の、一日限りの、つかの間の、はかない」という形容詞。「ある一定の世代でないとなじみがない」というようにも書いているので、イギリス人であっても TINA と聞いてもピンとこない人がいるのかもしれない。

そうであれば、安倍総理がイギリスならぬアメリカの議員に対して TINA を使ったのは、どれくらい理解してもらえたのだろうかと思うが、一方で、この言葉を知っている人であれば、サッチャー氏を思い浮かべて安倍氏の心意気を感じたことだろう、とも考えた。

なおウェブにあった情報では、安倍さんは以前からサッチャー氏を信奉していて、これまでも TINA を引用したことがあったそうだ。

TINA についてはここまでにして、トリビアをもうひとつ、今回安倍総理が演説を行ったのは「連邦議会上下両院合同会議」で、英語のタイトルとして、"Toward an Alliance of Hope" - Address to a Joint Meeting of the U.S. Congress by Prime Minister Shinzo Abe と首相官邸のサイトに書かれている。

ちょっと興味を持ったのでアメリカ議会の公式サイトを見ると、"Joint Meetings, Joint Sessions, & Inaugurations" というページがあり、"Joint Meeting" と "Joint Session" の違いに触れている。
http://history.house.gov/Institution/Joint-Sessions/Joint-Sessions/

これを読むと、上下両院合同の場であっても、今回の総理演説は Joint Meeting であって、 Joint Session ではないことがわかる。




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