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「3月15日に気をつけよ」 (the ides of March) [英語文化のトリビア]

前回は火星 Mars にからんで、3月 March は「マルスの月」ということだと書いたが、連想したのが the ides of March である。ジョージ・クルーニーの映画の題にもなっているが(邦題は「スーパー・チューズデー」)、古代ローマのカエサル(シーザー)に関係する言葉だ。

私はシェイクスピアの名句についての本を読んでいてこの言葉を知った。その戯曲「ジュリアス・シーザー」の第1幕第2場で、カエサルが占い師 soothsayer から「3月15日にご用心」と忠告される。

- CAESAR: Who is it in the press that calls on me?  (注: press 群衆)
I hear a tongue shriller than all the music
Cry "Caesar!" Speak, Caesar is turn'd to hear.
SOOTHSAYER: Beware the ides of March.
CAESAR: What man is that?
BRUTUS: A soothsayer bids you beware the ides of March.
(William Shakespeare: Julius Caesar)

そしてこの予言通り(そして史実もそうだが)、カエサルはこの日に暗殺されることになる。「ジュリアス・シーザー」では、"Et tu, Brute!" (「ブルータス、お前もか」)の次くらいに有名なセリフではないだろうか。なお sooth は古い英語で「真実、事実」ということで、soothsay は「予言(する)」。

私の持っている英和辞典で ides を引くと、「古代ローマの暦で3・5・7・10月の15日、そのほかの月の13日」といった語義が載っていて、英語圏の辞書にもそうしているものが多かったが、一方で「ローマ暦の月の中日」を指すという説明もあった。

- (plural) early 14c., "middle day of a Roman month," from Old French Ides (12c.), from Latin idus (plural), a word perhaps of Etruscan origin. The 15th of March, May, July, and October; the 13th of other months.
(Online Etymology Dictionary)

ただ、日本語版「ウィキペディア」の「ローマ暦」にある下記のような説明が正しいとすると、「月の中日」とする説明は、この語自体にそうした意味があるというより、結果的にそうなることを示しただけと考えるべきだろう。各月にある3つ特別な日のひとつが ides なのだそうだ。以下、引用する。

- • Kalendae (カレンダエ):月の最初の日。その月の Nōnae がいつであるかを宣言する日であり、「宣言する」という意味のラテン語の動詞 calāre/kalāre に由来する。また、暦をカレンダーというのは、これに由来する。
• Nōnae (ノーナエ):月の第5日または第7日。Īdūs から数えて(後述するように Īdūs も含めて)9日前であり、「第9の」を意味するラテン語の序数詞 nōnus の語尾変化形そのものである。
• Īdūs (イードゥース):月の第13日または第15日。この語の由来ははっきりしないが、Nōnae の8日後であり、「第8の」を意味するエトルリア語に由来するとの説がある。

「カレンダー」の由来もわかっておもしろいが、それはともかく、こうしたことを考えると、

- (in the ancient Roman calendar) a day falling roughly in the middle of each month (the 15th day of March, May, July, and October, and the 13th of other months) from which other dates were calculated. Compare with NONES, CALENDS.
Origin: late Old English: from Old French, from Latin idus (plural), of unknown origin
(Compact Oxford English Dictionary)

という語義は、「さすがオックスフォード!」と思うものだし、次の

- In the ancient Roman calendar, the eighth day after the nones--that is, the 13th of January, February, April, June, August, September, November, and December, and the 15th of March, May, July, and October.
(The Century Dictionary and Cyclopedia)

であるとか、英和辞典では「リーダーズ」の

- (古ロ)NONES 後の8日目(3、5、7、10月は15日;その他の月は13日;広義で7日前から当日までも指す)

もていねいだと思う。

なお、上記のようにラテン語が「イードゥース」と発音するようなので英語の ides も「イデス」のようにすればいいかというと、そうではなくて /aidz/、つまり「アイヅ」という感じになる。ネットには「イデス・オブ・マーチ」としている表記もあったが、適切とはいえまい。

ここまで書いて過去の記事を検索したら、実はこのブログを始めたばかりの頃、buyer bewarecaveat という言葉を紹介したついでに、この the ides of March にも触れていることがわかった。まったく忘れていたが、せっかく新たに辞書を調べもしたので、ボツにするのはもったいないとアップすることにした。

ところでジョージ・クルーニー監督・出演の「スーパー・チューズデー」は、封切り時に映画館で見た。アメリカの選挙戦での醜い舞台裏を描いたものだ。ネタバレになるので詳しくは避けるが、The Ides of March の原題は、映画で描かれるさまざまな政治がらみの謀略を、カエサル暗殺の陰謀になぞらえたものではないかと思う。

かなり期待して見たのだが、結局はスケールのこじんまりした内容で、終盤の「どんでんがえし」も途中で予想がついてしまったのがちょっと残念だった。

(参考記事)
・火星に運ばれる英語の俳句
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2013-10-26
・買い手の責任 buyer beware, caveat, caesarean section
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2006-07-05


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